お気に入りのチャンピオンの白Tを捨てた。
僕はまだ着たいなぁ、と思ったが。
彼女はもう捨てなさい、と言った。
お気に入りなんだけどなぁ、とこぼしたが。
もう充分活躍したでしょ、と返された。
そうだね、充分活躍してくれたかも。
とつぶやきながら、ゴミ箱のフタを閉じた。
26歳の夏があっとゆうまに終わった感じがした。
今年の夏もいろいろあった。
お盆に車を出して、新潟へ行った。
僕は海が好きだけど、彼女と行く海はとても新鮮で、
白く華奢な彼女の身体を見ていると、なんだかすごく澄んだ気持ちになった。
都会の海とは違って、そこまでひと気の無い浜辺、ほんの少しだけ透明な海が、
そうさせたのか、とにかくこそばゆい感情ではあった。
小1時間ほど泳いだあとに平たい岩場の上で、
#海来たよ #気持ちいいよ #ポピポピ
てな感じのハッシュタグが付きそうなセルフィーを撮った。
気付いたら、その岩場の上で1時間ほど昼寝して、
波の音を聞きながら眠りに就くことがどれだけ心地よいのかを2人で感じた。
白いビキニを着た彼女がとても可愛いかったのは事実だが、
自分の様な薄汚い、ドブネズミの様に東京で生きている身の者が、
田舎の海へ行き、あんな感情を抱けたことは、貴重な体験であった様に思う。
3年ぶりくらいに、サマソニにも行った。
マックルモアとケミカルブラザーズが観たいという公式声明の裏で、
きゃりーぱみゅぱみゅとアリアナグランデにて、女子とまみれたいというのが真意だ。
タキシードを観るべきだと友達は言ったが、振り返ればそうだったかもしれない。
大学3年生の時にビーチステージに行ったとき、
かなり調子イイ感じのオジさんに声をかけられた。
へい、どこから来たの?何か飲むかい?僕が奢ってあけるよ。
(普段であれば自身が女の子に呟く言葉であったが)
僕とサッカー部の先輩は踊りながら、マリブコークを待った。
絶対キマってるよなあのオジさんと話して、まぁ1杯奢ってくれるみたいだし、
いんじゃないっすか?と砂浜に流れる陽気なそれに身を任せることにした。
金に染め上げた短髪、ピアスの主張が強い耳、
やたらに色白の上裸にスウェーデン代表のブルーのゲームパンツ、
という出で立ちが異様に胡散臭く感じた。
嬉しそうにマリブコークを2杯持って来たオジさんと乾杯をして。
満足気な表情をして踊るオジさんは、2、3分すると
おぼつかないステップで陽気に踊る前線の集団に戻っていった。
僕と先輩はなんだか拍子抜けした気分になって、ビーチステージをあとにした。
なんだかよくわからない出来事であったが、
なんだかよくわからないまま自分の記憶に刻まれたことは確かだ。
今年は今年とて、とにかくたくさん踊った。
きゃりーちゃんで小躍りをし、マデオンで首を振って踊り、
マックルモアで飛び跳ね、お目当ての歌姫が登場する頃には体力の限界を迎え、
アリアナとケミカルブラザーズはアリーナ席でゆっくりと観た。
ケミカルの途中で眠気に襲われたが、
「いや、もったいない」という思いに駆られ、
金払ったなら払っただけ、というジブさんの一押しもあって、
アリーナ席の一番上の方で、1人、タコ踊りをした。
イメージの中では、
僕のタコ踊りも菅原小春のそれと何ら違いのない表現力と力強さで。
羞恥心を暗闇に放りなげて、ひたすらタコ踊りをした。
ときどき1人で踊っていることが不安になったので、
彼女の背中を叩いて、僕のタコ踊りをみてもらうこともした。
僕のタコ踊りを、うんうんと母の様な眼差しで見守ってくれた。
本当にありがとう。
いや、何の話や。
まぁといった感じで、海とサマソニに行ったことが、
僕にとっての今年のハイライトか。
もう少し、いやもっともっと書きたいことはあるが。
いまWOWOWで日活ロマンポルノが流れていて、
ちょっとそれが気になるので、お開きにしよう、そうしよう。
あと、これは最近よく思うこと。
僕はSNSにて、
#最高かよ
って言う人が好みではない。
もっと自分の感情を豊かに表現した方がいい。
そもそも、最高です、と言っていいのは読売巨人軍の選手ぐらいだと思うし。
自分の感じたことをその言葉だけに集約してしまうことはとてももったいない。
でもあれ流行ってるよね。イケ感が出るからかな。
なんだかね、もったいないよね。
以上。
つすめん。
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